話し方を改善するには、まずは、スマートフォンなどを使って録音(録画もOK)すること。しかし、録音したものを漫然と聞いてしまうと、自分の声や話している感じばかりが気になって挫折してしまうもの。そうならないためにはポイントを絞ってチェックするのがお勧めです。
今回は、「無駄な言葉のチェックのしかた」です。
無意識に話している無駄な言葉とは
無駄な言葉のチェックというと、思い浮かぶのは「えー」「あのー」などの言葉(間投詞)が多いということではないでしょうか?実は「えー」「あのー」以外にも無駄な言葉って多いんです。話し方を考える上での無駄な言葉とは、その言葉がなくても意味が通じるもの。ほとんど無意識で、習慣や惰性で話してしまっているものなどがあります。
せっかく良い内容や感動的な言葉をしゃべっていても、無駄な言葉がそこら中に入っていると、それが耳障りになってちゃんと伝わらなくなりがちです。
インテリアに例えると、どんなすばらしい家具でも、掃除の行き届いていない部屋に置いてしまえば、その家具の良さはわかりにくいのと同じです。家具を目立たせたかったら、無駄なものは置かず、きれいに掃除すべきですよね。この際、あなたの話し言葉から無駄な言葉も掃除してみませんか?
無駄な言葉の実例
では、どんな無駄な言葉があるのか。例を挙げていきます。
一つ目は、文を「無意味に」つないでしまう言葉。「~ですけれどもぉ」「~なんですがぁ」「~でしてぇ」「~はですねぇ」といった言葉です。こうした言葉を使うと、自然と文が長くなっていってしまいます。なるべくこうした言葉を使わず、そこで文が切れるときは「。」で文を切るようにしましょう。
二つ目は、「これから話す項目」を示す言葉。「~つきましてはぁ」「~でございますがぁ」のような言い方です。これも、「~についてお話しします」のようにできる限り「。」をうつように心がけると聞いている人に負担がかかりにくくなります。
三つ目は、必要のない婉曲表現。「~したいと思います」「~かなと考えています」などの言い方。前者は必ず実行するのなら「~します」、後者は確信があるのなら「~だと考えています」と言ったほうが、聞いている人の頭にしっかりと残ります。
ビジネスに合わない表現
最後に、ビジネスの場に合わない丁寧すぎる表現。「~でございます」「~させていただきます」などが典型です。その言葉自体は問題ありません。ただ、効率が優先されるようなビジネスの席で連発されると、かえって耳障りになりがちなのです。ふつうに「~です、~ます」で十分。態度が良くなかったり、相手に対する配慮が足りない場合は、どんなに言葉が丁寧でも空疎に聞こえるだけです。言葉を無駄に飾るよりも、シンプルな表現を誠実に話そうとするほうが効果があると思いますよ。
さて、ここまで4回にわたって話し言葉改善のためのチェックポイントを挙げてきました。次回は実践編です。実際に身につくようになるための、ちょっとスパルタな方法を紹介します。ご期待ください。
この記事は、2019年1月から12月まで週刊東洋経済に連載したコラム「必ず伝わる最強の話術」に 加筆修正を加えたものです。
何事もそうですが、新しい知識やテクニックを身につけるのは楽しい一方、自分に向き合うのっておっくうですよね。私も同じです。趣味でバンド活動をしているのですが、その一環で今、ビートルズのアルバム「アビーロード」をバンドメンバーと一曲ずつ録音をしています。録音は楽器やボーカルごとに行っていくため、何度も音を重ねる作業を続けます。その際、いやでも自分の演奏を何度も聴きながらチェックし、OKが出せるクオリティーになっているか確認します。自分のヘタさ加減に直面するため本当につらい作業なのですが、これで少しずつですが上達していっている気がします。話し方も同じなんですよね…。