プレゼンテーションの骨組み=ストーリー構成が完成したら、いよいよ具体的なコメント作り、さらにスライド作りに入っていきます。
最初は骨組みに従って、まずは原稿を書くようにしましょう。
コメントを書くときのポイントは2つ。「見出しや概要から始め、その後に細かいことへ言及していくこと」「とにかく文章を短くすること」です。ここまでの連載でふれたことの復習もかねてご紹介しますね。
原稿作りのカギはシンプルな「構成と文章」
一つ目の「見出しや概要から始め、その後細かいことへ言及していく」方法は、新聞やテレビのニュースの書き方を参考にしましょう。記事の概要、詳しい内容の説明、今後の見通しなど補足情報の順です。
「これから提案する内容の概要です。~を解決するものです。これまでの課題は~でした。この提案で~のようなことが実現できます。詳細をご説明します。~」のように、まずはプレゼンで伝えたい内容の全体像をシンプルに聞き手に伝えられない限り、細かいデータや根拠をしっかりと理解してもらうことは、難しくなります。聞き手の理解を追い越してどんどん説明することのないように、気を配るようにしてください。
二つ目の「文章を短くする」ことは、わかりやすい話しことばにする上で、最も大切なことです。この連載でも何度もふれてきましたね。プレゼンのコメントを作る時には、一文を書き終えたら、その文をゆっくり話して、一息で読めるかを確認してください。息が持たないようなら、文が長い証拠。いくつかの文に分けて説明するようにしましょう。
複雑な内容だとなかなか難しいかもしれませんが、プレゼンはわかってもらってなんぼです。数回前にご紹介した、「述語をなるべく早く言う」「体言止めを使う」などの方法を試しながら、短い文を作ることを心がけてくださいね。
あなたのことばが主、スライドは従
お待たせしました、いよいよスライド作りです。デザインの仕方などは、ネットの記事や様々な本が出ていますので、そちらを参考になさってください。私からお伝えしたいのは、スライドは「話すことをわかりやすく伝えるために使う演出」だということ。あくまであなたの話が最優先です。
スライドは、音声で聞こえる言葉に比べ、聞き手の関心を引き寄せる力が強いものです。
スライドが出ると、聞き手は何が書いてあるのか、理解しようとします。そのスライドに文字や図表がびっしり詰まっていると、どうでしょう。見る気がしないですよね。仮にそれを読んでくれたとしても、聞こえてくるあなたの言葉とスライドの情報がシンクロしていない場合、あるいはあなたの話がスライドのどこを話しているのかわからない時は、もっと悲惨です。聞き手にストレスを与えるプレゼンになってしまいます。
あなたが話した言葉や情報の中で、ちゃんと記憶に残してほしいもの。それだけをスライドに出す意識でのぞむことをお勧めします。
またスライドを出すタイミングも重要です。これから話すことがスライドに書かれていると、聞き手はそれを先に読んでしまい、あなたがその部分を話した時には、聞き手はその話を知っていることになります。それを避けるためにも、使い過ぎはよくありませんが、あなたの話に合わせ、アニメーションを使って文字が浮かび上がるようにする演出も取り入れてみてください。
次回は、いよいよ話す練習の仕方です。お楽しみに。
この記事は、2019年1月から12月まで週刊東洋経済に連載したコラム「必ず伝わる最強の話術」に 加筆修正を加えたものです。