自分では一生懸命話しているつもりなのに、なぜか聞いている人には平板に聞こえる。
こんなお悩みを持っている方も多いのではないでしょうか?
話を平板に聞かせてしまう「聞かせないほうが良い音」
大きな原因の一つは、聞いている人に「余計な音」を聞かせてしまっていることです。「えーと」「あのー」「まぁ」などの無意識に出てしまうつなぎの言葉は、そんな「余計な音」の代表です。
実はそれ以外にも、聞いている人に「聞かせないほうが良い音」があるのです。それは、文の切れ目や言葉の切れ目など「無駄に言葉尻を強調すること」です。
幼稚園、もしくは小学1年生くらいの頃、こんな風に言っていませんでしたか?
せん「せー」、さよーな「らっ」、みな「さん」。このカギ括弧でくくった部分がちょうど文の切れ目=言葉尻になっていて、そこを強く発音=強調していましたよね。これが「言葉尻の強調」です。
子供たちだとかわいいのですが、大人が同じように言ったとしたら、どうでしょう。ちょっと気持ち悪いですよね。
気持ち悪さの原因は、特に重要でもない言葉である言葉尻を強調しているからです。意味のない部分の強調。これを頻発されると、聞いている方は聞きにくさを感じてしまうのです。
みなさんも知らず知らずのうちにやってしまっているはずです。例えばこんな文章。
今日「はっ」、お忙しいとこ「ろっ」、お越しくださいまし「てっ」、ありがとうござい「ます」。
いかがでしょうか?これ、普段の会話の中で聞いている分には特に気にならないと思います。
しかし、人前でプレゼンやスピーチなどまとまった話をしている人が、こうした言葉尻を強調する話し方をしていると、聞いている人の耳には「はっ」「ろっ」「てっ」「ます」という言葉尻ばかりが残ってしまい、肝心の内容が今ひとつ伝わらない恐れがあります。
政治家の答弁が理解しづらいワケ
また、言葉尻の「音を伸ばす」のも同じようにノイズになります。政治家の答弁を思い出していただくとイメージしやすいと思います。
今日はっ「あー」お忙しいところっ「おー」お越しくださいましてっ「えー」。。。
えー、などと音を伸ばしている間に考えながら話しているんですよね。しかし聞いているほうは余計な音を連続して聞かされると、理解の邪魔になったり、眠くなります。
聞かせたくない音が出るの防ぐ!「ポン出し」
では、こうした癖はどうすれば治るのか?
私のオススメは、最初の音を「軽く」「高めに(明るめに)」「ポン!と」出す方法。題して「ポン出し」です。
まずはやってみましょう。カギカッコ部分を軽く高めにポン!と出してみてください。あとの文はその勢いだけで話して結構です。
「きょ」うは、「お」忙しい中、「お」越しくださいまして、、、。
どうですか、言葉尻は?強く言ったり、伸びたりしないでしょう?こうすることで、情報性のない言葉尻を強調することは避けられます。
しかもことばの最初の部分がよく相手に聞こえるようになるため、「きょう」「お忙しい」「お越しください」など情報性のある部分がしっかり伝わるようになるのです。
この「ポン出し」、私のところにトレーニングにお越しになる方に伝えると、最初は半信半疑の反応をされる方がほとんどです。
しかし、実際にやっていただくと皆さんその効果に驚かれます。ぜひ、あなたも試してみてくださいね。
この記事は、2019年1月から12月まで週刊東洋経済に連載したコラム「必ず伝わる最強の話術」に 加筆修正を加えたものです。

松本和也(まつもと・かずや) / 音声表現コンサルタント・ナレーター・司会・ファシリテーター。1967年兵庫県神戸市生まれ。私立灘高校、京都大学経済学部を卒業後、1991年NHKにアナウンサーとして入局。奈良・福井の各放送局を経て、1999年から2012年まで東京アナウンス室勤務。2016年6月退職。7月から「株式会社マツモトメソッド」代表取締役。アナウンサー時代の主な担当番組は、「英語でしゃべらナイト」司会(2001~2007)、「NHK紅白歌合戦」総合司会(2007、2008)、「NHKのど自慢」司会(2010~2011)、「ダーウィンが来た!生きもの新伝説」「NHKスペシャル(多数)」「大河ドラマ『北条時宗』・木曜時代劇『陽炎の辻1/2/3』」等のナレーター、「シドニーパラリンピック開閉会式」実況に加え、報道番組のキャスターなどアナウンサーとしてあらゆるジャンルの仕事を経験した。株式会社 青二プロダクション所属

