いやぁとんでもない年でしたね。2020年。
話すこと、伝えることを長年考え続けてきた私にとっては、2020年こそ、「話すことの大切さがより高まった年」だった気がしています。
その大きなきっかけは、もちろん、新型コロナです。
新型コロナが気づかせてくれた「日本的記者会見の限界」
新型コロナ感染が広がるにつれて、テレビからは、日本の総理大臣を始め、世界中から様々な人の記者会見、国民への呼びかけ映像が流れてきました。その時、皆さん思いませんでしたか?なんで世界のリーダーはこんなにも伝わるメッセージが送れるのに、日本は。。。と。
これ、リーダー個人の資質の問題もさることながら、私はそれだけではないと思っています。
例えば、4月末の安倍前総理の緊急事態宣言後のスピーチ。
今、知りたいことを、なかなか話してくれない。
納得できる具体的な事例や数字を示した上での現状分析、それに対する具体的な打ち手とその根拠、それに対して期待される具体的な見通し、打ち出した方針に対して成果を見てプランを修正するスケジュールなどはほとんど言及なし。トータルの予算規模がいかに大きいかをアピールするものの、具体的なものは見えてこない。その代わり、「これまでにない」「最大限の」「スピード感を持って」「できるだけすみやかに」「しっかりと」「責任を持って」「着実に」などの抽象的な修飾語があふれていました。
話し方もさることながら、話す内容そのものが何の説得力もないことを人々は「痛感」したはずです。
問題なのは、「トップの話し方」だけではありません。それ以上に、「今、伝えるべき内容は何か」が、日本でも最も優秀な人たちが集まっているであろうスタッフの中で認識されていなかったこと。私はそちらの方が、根が深い問題だと思っています。
ドイツのメルケル首相、アメリカ・ニューヨーク州のクオモ知事を始め、多くのリーダーの演説は違いました。(日本のいくつかの自治体のリーダーもそうでしたね。希望が持てました。)
まず、今の状況を端的に説明。現在の最新状況を数字をあげて具体的に説明。それに対する打ち手を具体的に話し、今後の見通しとスケジュールなどを伝え、国民へのメッセージが飾り気のない言葉でわかりやすく伝えられていました。実践的な説明と感情に訴える部分のバランスが絶妙でした。そして、ほとんどポエムのような修飾語がないという違いがありました。(ポエムに対して失礼ですね。ごめんなさい。)
もちろん、彼ら外国のトップは話し方も違いました。原稿を棒読みするのでなく、しっかりと人々に語り掛けている。原稿やプロンプターを使うのが悪いのではありません。そこに書いていることを自分の言葉として人に語れていないのが、トップに立つ人として残念だったところです。
日頃から、論点ずらしや何を答えているかわからないようにしながら時間稼ぎをすることが手段となっていた政治の中のやりとりが、こうした危機では通用しないことが本当によくわかったと思います。
これをきっかけに、より生産的な議論をしていこうというムードが醸成されればよいなと思うのですが。。。
はっきり言わないのが、身を守るための最善の手段という日本社会の常識が変わらない限り、無理なのかもしれないと思ってしまいます。
記者会見といえば、記者の質問に対し明らかにしっかり答えられていないにもかかわらず、二の矢の質問が出ないことに驚いた方も多いでしょう。聞かれたことに答えなくてよいというルールはいつからできたのか。
もちろん、記者クラブでのルールがあるのでしょう。厳しい質問を次々言うと、官邸などからにらまれて情報をもらえなくなるからかもしれません。
一番驚いたのは、そこも含めた全てのやりとりが一般の人々に見られていることを、質問される側もする側も気にしていないということでした。
記者会見全部がネットで見られるようになった今こそ、マスコミによって編集された情報以上に、何を答えたのかだけではなく、どう答えたのかまでしっかりばれるのです。その情報が、どんな質問をきっかけに答えたのか。質問に対して誠実に答えているのか。その時の表情、目の泳ぎ方、声の震えまではっきりとわかる時代が来ています。
そこに対する意識が、答える側、質問する側双方にもっと高まってほしい。政府でも企業でもトップに立つ人はその意識を持ってほしい。
弊社としては、そのお手伝いをぜひしたい!そう思いました。(この一行、宣伝)
Zoom、Teamsが当たり前に。その実態は?
感染防止の観点からテレワークが進む中、ZOOMやTEAMSなどオンラインコミュニケーションツールが急速に一般化しました。今や電話の打ち合わせよりも、こうしたツールで打ち合わせをするほうがよいみたいな雰囲気になりつつあるような気がします。でも私、思うんです。オンラインツールってちゃんと使おうと思ったら大変ですよ、と。
オンラインで伝えるには、リアルで人に会っているときよりも様々な高いハードルがあります。音声はマイク越し、表情はカメラ越し。当たり前ですよね。でも、これ、本当に大変なんです。見る側に回ってみればすぐわかります。相手が見ているのは画面です。その時のどう映っているか、どう聞こえているかは大変な問題です。
リアルで会っているときは、失礼な態度さえとらなければちゃんと相手にそのことは伝わっていました。しかし、カメラ越しだとそうはいきません。まず照明がしっかりあたっていないと顔色が悪く見えます。カメラの位置を下にしすぎると、相手を見下ろすような表情になります。声も、しっかり話していてもマイクとの距離やマイクそのものの性能、回線速度によっては、相手が聞き取りにくいことがあります。こうなってしまうと、本人がどんなにちゃんとした態度で話していても好印象を与えることができなくなる恐れがあります。
これまで新人研修で必須だった、営業や接客の基礎的なビジネスマナーを教える研修に加え、今後はオンラインでの見せ方聞かせ方の研修も必要になるでしょう。
ちなみに弊社も行っております。(宣伝パート2)
企業主催のイベントはオンラインカンファレンスに
これまで、企業が多くの人を招いて開いていたイベントも、オンラインカンファレンスへと変わりました。私もたくさんのオンラインカンファレンスを見ましたが、初めてだから仕方ない部分もあるものの、正直5分も見ていられないものがほとんどでした。
実際に多くのお客様からもオンラインカンファレンスがうまくいかない。どうしたらいい?という相談を受けました。指摘した実例をご紹介しますと。。。
・オープニングでなんだかわからないイメージ動画を長々と見せられる。これ誰得?
・司会者登場。元気もなければ面白くもない。視線も定まらず、とにかく聞き手を不安にさせる挙動。オープニングは最も大切。練習はした?
・自己紹介や趣旨説明があまりに長い。このあと見たいと思わせる工夫がない。まだ大学生の学園祭のイベントの司会のほうがやる気があるだけまし。
・登壇する人たちのプレゼンも同様。イベントを成功させるためには、主催者が登壇者にプレゼン内容を丸投げするのは最悪の手段。
・スライドも退屈過ぎる。字のびっしり詰まったスライド。「○○について」「結論」など書いてある文字を見ても中身が全くわからないスライド。グラフや数字を盛り込むのはいいが、いったいどこを見てほしいのかがわからない。
・登壇者が、最後に行うパネルディスカッションは悲惨の一言。司会者(今は、ファシリテーター、モデレーターと言うそうですね)は「○○さんは~についてはいかがですか?」という漠とした質問を投げかけっぱなし。最後は「残念ながらお時間が参りました。それぞれ皆さん一言ずつ。」白熱した議論も思わぬ発見もない、井戸場会議以下のただのダラダラした話を聞かされるだけ。
さんざん毒づいてすみません。これでも、お客様にご指摘したことの一部なんです。でも仕方ないですよね。コロナで急に始まったことなんですから。でも、今後はそうはいかなくなるでしょう。ちゃんとオンライン時代に対応した企業と、旧態依然としたことを続けている企業とでは大きな差がつくのは間違いありません。
オンラインで見る人たちを脱落させることなく最後まで見てもらうためのノウハウはどこにあるのか?私は、テレビの演出がそのヒントになると思っています。
オンラインで、伝えたいことを視聴者に飽きさせることなく伝える。そのためには、一つの「テレビ番組」を作る感覚でイベントやプレゼンを設計する必要があると考えています。
お客様をひきつける話しかた。立ち居振る舞い。カメラへの映り方。プレゼンの際のコメント作り。中身の構成のしかた。コメントを活かすスライドの作り方。。。一つの番組を作るには本当にたくさんのノウハウが必要です。
2021年は、このノウハウを身につけ、実践した企業がリードする時代だと確信しています。
そのお手伝いができるのが弊社です!皆様のお手伝いができるのをお待ちしています!
(宣伝3!)