第4回「話す文章はなるべく短く」

短縮

ここまでお話ししたのは、「嫌でも録音しましょう」 「早口は万病のもと」というお話でした。今回お話しするのは、私のもとにトレーニングにいらっしゃる皆さんに必ず伝えていること。それは「話すときの文は、なるべく短くする」ということです。

「話すときの文は、なるべく短くする」を心がけるだけで、聞いていてわかりやすい表現になる、という優れもののコツですよ。

文は短くする効果が、よく分かる例

 例えば、私を題材に、よくある自己紹介の例を出してみましょう。ちょっと頭の中で声を出して再生してみてくださいね。

「え~、私ぃ、松本和也と申しましてぇ、1991年からNHKでアナウンサーをしておりましたがぁ、2016年の6月に退職しましてぇ、翌7月からビジネスパーソンの皆さん向けに説得力あるプレゼンテーションやスピーチを教える仕事をしておりますけれどもぉ、本日は現役時代に実際に使っていた話し方のテクニックに絞ってお話しさせていただけたらなぁという風に考えておる次第でございます。」

 こんな自己紹介ありませんか?「チコちゃんに叱られる!」的に言うと「ボーッと聞いていれば」それほど問題ないと思うかもしれません。ではこうすればどうでしょう。

「私、松本和也と申します。1991年からNHKのアナウンサーをしておりました。その後2016年6月に退職。翌7月からビジネスパーソンの皆さん向けに説得力あるプレゼンテーションやスピーチを教える仕事をしております。本日は現役時代に実際に使っていた話し方のテクニックに絞ってお話をさせていただきます。」

 違いはわかりますか?最初の例は、これだけの内容を一つの文で話しています。あとのほうは、5つの文になっています。どちらがわかりやすいでしょうか?

どちらかといえば、あとのほうがわかりやすいと思います。「いや、前のほうでも十分わかりやすかった」と思った方もいますね。わかります。字で読んだからですね。これ、実際音で聞くと、「この話いつ終わるんだ」とイライラしますよ。

文が途切れないと、聞き手がイライラする原因

 情報が途切れることなく次々と重なってくる。聞いているほうは聞いた情報をずっと頭の中でためておかなくてはならない。それがイライラの原因です。自己紹介などの簡単な内容ならいいのですが、経営戦略など込み入った内容だと、この情報のためこみを強いられるのは聞き手にとっては非常につらいです。食事に例えると、噛み終えて飲み込む前に次々と口の中に料理を放り込まれる。本当は早く飲み込んで次の料理を味わいたいのに。そんな感じです。

 どんなに素晴らしい内容を話しても、相手の頭に残らなければ意味がありません。前回の早口にならないよう、一言一言しっかりと話すこと。そして今回の、文を短くすること。この二つをしっかり守るだけで、あなたのプレゼンテーションスキルは格段にアップします。ぜひ試してみてくださいね。

この記事は、2019年1月から12月まで週刊東洋経済に連載したコラム「必ず伝わる最強の話術」に 加筆修正を加えたものです。

 


「文を短くする」というテクニック。聞いている人が理解しやすくなること以外にもう一つのメリットがあります。それは、聞いている人に「言葉が力強く伝わる」ことです。聞き手の心を動かすようなプレゼンをしたいと思ったら、ダラダラ話さないことが第一。不要な言葉をできるだけそぎ落とし、この言葉だけは相手に届けるんだ!という思いで、短く伝える。これができれば、あなたも心に残るプレゼンができる!そう断言できます!

今回の内容をまとめた動画がこちらです。よかったらご覧になってみてくださいね。文章で伝わりにくかったところも音で聞くとわかりやすいと思いますよ!

 

松本和也松本和也(まつもと・かずや) / 音声表現コンサルタント・ナレーター・司会・ファシリテーター。1967年兵庫県神戸市生まれ。私立灘高校、京都大学経済学部を卒業後、1991年NHKにアナウンサーとして入局。奈良・福井の各放送局を経て、1999年から2012年まで東京アナウンス室勤務。2016年6月退職。7月から「株式会社マツモトメソッド」代表取締役。アナウンサー時代の主な担当番組は、「英語でしゃべらナイト」司会(2001~2007)、「NHK紅白歌合戦」総合司会(2007、2008)、「NHKのど自慢」司会(2010~2011)、「ダーウィンが来た!生きもの新伝説」「NHKスペシャル(多数)」「大河ドラマ『北条時宗』・木曜時代劇『陽炎の辻1/2/3』」等のナレーター、「シドニーパラリンピック開閉会式」実況に加え、報道番組のキャスターなどアナウンサーとしてあらゆるジャンルの仕事を経験した。株式会社 青二プロダクション所属

 

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