スライドを使ってプレゼンテーションする機会も、多いと思います。
今回は、そんなスライドを使ったプレゼンでやってしまいがちなわかりにくい、あるいはつまらない話し方の例とその改善方法をお伝えします。
スライドの切り替えが早すぎる
まず、スライドを使うプレゼンで忘れてはいけないこと。それは、「聴衆は、スライドが映し出されたら、そのスライドに何が書かれているか一生懸命に見ようとする」ということです。
当たり前じゃないかと思われた方、いますよね。でも、このことを忘れて、わかりにくい話し方をしてしまう方が多いんですよ。
一番ありがちなのは、話している内容に対してスライドの切り替えが早すぎることです。映っているスライドを聴衆がまだ理解していないうちに、あるいは、そのスライドについての話をまだしている最中なのに、次のスライドに切り替えてしまうのです。次に言いたいことがいっぱいあって、少しでも早く話を進めたいというときにやってしまいがちです。
スライドの切り替えのタイミングは、その話が終わった後、聴衆がしっかりと納得したのを確認して、ひと呼吸置いて切り替えてください。そうしないと、「今読んでいる(理解しようとしている)最中なのに…」と聞いている人に不満を感じさせてしまいますよ。
話している内容と関係ないスライドを出してしまう
次に、よくあるのが、言葉で話している内容と、スライドに書いてある内容がすぐには結びつかないスライドです。
例えば、話しているのは「昨年の売り上げ目標と未達に終わった原因」を話しているのに、スライドには来年度の売り上げ目標が書かれている。もちろん、話している方は、スライドに出ている内容の前提となる昨年の情報を話しているつもりでしょうが、聞いている方はつらいです。耳と目からそれぞれ入ってくる別の情報を同時に処理しなくてはならないのですから。
そして最も残念なのは、「ネタバレ」スライドです。
例えば、一枚のスライドの上半分には、お客様から寄せられた自社サービスの弱点が書かれている。一番下の行には、それに対する効果的な打ち手がかっこよく書いてあるとしましょう。これ、スライド単体としてはまとまっているのです。しかしプレゼンで使うと、スライドが出た瞬間、一番下のかっこいい打ち手の部分までざっと読んでしまう人も、中にはいるでしょう。その人にとっては、もう打ち手がわかっているので、スライドの上半分の弱点の話は聞く気にもなれないのです。
このように、言いたいことを聴衆に先に読まれないためには、先に読まれたくない部分は分割して別のスライドとして後に出す、あるいはアニメーションを使い、最初は隠しておいてその後話に合わせて、出現させるのが有効です。ちょうど、テレビの情報番組でフリップを使って説明する時、大事なところは紙で隠しておいて、話に合わせてめくるような感じです。
はじめにスライドありきではなく、展開したい話の流れに合わせてスライドを使って印象づける。あくまでメインは話して伝えること。スライドはそれを助けてくれるツールととらえるべきだと思います。
この記事は、2019年1月から12月まで週刊東洋経済に連載したコラム「必ず伝わる最強の話術」に 加筆修正を加えたものです。